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ふと、風が強く吹いた。まるで不安を煽るかのような風に、朽葉と卯月が同時に身体を震わせた。
「どうしたの?」
柊が尋ねれば、二人は柊に駆け寄りしがみつく。まるで何か怖いモノから逃れるように。二人の背中に手を回しながら、柊は清乃を見た。
相変わらず気持ち良さそうに眠っている。……柊自身も、二人の不安や恐怖が解らない。ただ抱きしめてやる事しか、出来ない。
二人のこの不安感や恐怖感が、きっと……この屋敷に来た理由と関係有るのだ。柊は下の二人の不安と恐怖が少しでも和らぐように、強く抱き締めた。
それから少し経ち、朽葉と卯月はようやく柊から離れる事が出来た。その表情を見れば、まだ顔に不安が浮かべられている。けれど、恐怖は無いようで、柊が微笑めば、二人はぎこちなく笑顔を浮かべた。
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