コインランドリー

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 洋服の洗濯が終わるまで近くのコンビニで時間を潰す。青年は、恒久的に組み込まれたプログラムのように連綿と続けていた。小麦色に焼けた腕に巻かれた腕時計をふと見る。長針は十を指し、短針は六を刺す。プログラムに誤差が生まれた。  普段ならその時間にコンビニで雑誌を立ち読みをしている。誤差の原因となった背後のものに、汗が引いた今、心身ともに寒心した。青年は徒労に終わろうとも、修正を施すように小走りでコンビニへ向かった。  雑誌をめくろうとする手が拙い。次のページをめくろうとしても、二、三頁飛ばしてめくれてしまう。  落ち着かない、落ち着かない、落ち着かない。  雑誌を棚に戻す。店員に一声かけて、トイレへ入った。尿意や便意を催した訳ではない。ただ、狭い、一人になれる個室に入りたかっただけだ。  どうだろう。圧迫感さえ感じられる空間に心はどこか安らいでいる。便器の上に腰が落ちた。青年は拳ひとつ分顎を上げ、一つ息を吐いた。口から大きく空気を吸い込みたい気分だったが、場所が場所でありそれは慎んだ。  自分の所在無い手が目に入る。こういう時に喫煙者は煙草を当て行うのだろう。忌ま忌ましいとさえ思っていた煙を吹かす姿に、何処か納得し折衝を終えて釈然とすれば、徒然なる両手は役目を終えたかのように下がり、青年は目を瞑った。そして、ゆっくりと意識を碇のように落とし、まどろんだ。  かくりと頭が横に流れたことで、青年は目を覚ます。腕時計を見ると、直ぐさまトイレを出ていき、自動ドアを通り抜けた。  運動不足が祟り、数十メートルをランニングしただけで、乱れた息を吐く。コインランドリーに着くころには、激しく肩で息をしていた。それを一つにまとめようとする最中、コインランドリーの一枚ガラスの窓の向こうに目を向ける。
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