その壱

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毎日毎日…忙しい日が続く。 救急外来だったはずが、 『高度救命救急センター』なんて かっこいい名前が付いたけど、 仕事の内容は今までと何ら変わりなく、 職場に寝泊まりしている…と言うのが 俺の日常… 時々『寂しすぎると死んでしまう』と言う かわいそうな悪友の家に旨メシを食いに行き 酒を飲む程度の楽しみしか持たない俺は すでに人生が終わったようなもんだと思う。 はー。ため息を大きく付いたかと思ったら、 看護主任の奥園さんに睨まれる。 ここでの同志みたいな存在で、 いつだって指示に的確に動く右腕みたいな存在で、 疲れている頃合いに、 和菓子とか…そっと医局に置いてってくれる。 こんなに気が利くのに、 男運がねーっつーか… 離婚したって聞くが、 まぁ…関係のない話だ。
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