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扉を開けた瞬間、ほんの一瞬だけ静かになった。オヤジギャグを言ったあとの静けさと同じくらい。怖くなり、私は下を向いた。すぐにまた騒がしくなった。私は黒板の前に書いてある席を確認して、自分の席に座った。
「ねえ?あいつだれ?」
「ああ、ずっと学校に来てなかったやつ。いまさらなんで戻ってきたんだろ?」またひそひそ話し。本人に聞こえてますよ?そんなこともおかまいなしにまだ話しを続けていた。
「学校来てなかったんだ」
「違う、保健室に通っていた子だよ。頭がおかしいんだって」
「勉強だけはできてたよな」
「勉強できてもなぁ」とそこで数人の子が私のほうを見ながら笑った。
悔しかった。今すぐにでも、そんなんじゃないと叫んでやりたかった。だけど、このときの私は中学のときのように自分に自信はなかった。悲しくなり、私は机に伏せて寝たふりを決めた。
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