16人が本棚に入れています
本棚に追加
教室に帰る途中、千草先生が私に話しかけてくれた。
「担任になれなくて、ごめんね」
「いいですよ。気にしてません」私はにっこり微笑みながらそう言った。しかし、その表情とは裏腹に手はかなり震えていた。
本当は担任になってほしかった。しかし、それは私1人のわがままにしか過ぎない。ちゃんとそれは理解していた。
「今日の放課後、おいで」優しく微笑みながら先生は私にそういってくれた。
「もちろんです」私はそういって、先生と別れた。
「千草先生、担任じゃなかったなぁ。残念」まりあちゃんは若干落ち込んだようにそうつぶやいた。
「うん」私は少しだけため息をついた。まりあちゃんは落ち込んだ私のことを気遣ってか笑って、頭を撫でてくれた。
「大丈夫!別に学校が変わったわけじゃないんだから、いつでも話にいけるし、私たちもいるから」その言葉にほんのり心が温まった。
「ありがとう」心の底からそう言えた。
最初のコメントを投稿しよう!