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教室に戻ると、すでに裕子先生は居た。私は自分の席にゆっくりと座った。全員そろったところで先生は話を始めた。
「今日からこの2年5組の担任をすることになりました裕子です」とさすがは体育の先生。かなり元気のよい挨拶をした。
「何人かは去年も担任になったかな?これから、よろしくお願いします」と先生が言い切ると拍手が起きた。それから、先生はこれからのことを話した。少し時間が残ったので、自由時間となった。
「白川さん、ちょっといい?」
「はい」私は短く返事をして、裕子先生と一緒に廊下を出た。
教室がかなり騒がしい。しかし、廊下はありえないほど静かだった。真剣な裕子先生の顔を見るからに、だいたい話したい内容は分かるが。
「去年のことを、千草先生から話を聴いてる。もう大丈夫?」本当はまだまだ本調子ではない。ここはちゃんと正直に話しておかないと。
「正直に言って、まだ本調子ではありません」私は若干微笑みながらそうつぶやいた。先生の顔がよりいっそう険しくなった。
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