その零

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「っし、行くか…」 小さな声で自分にちょっとした喝を入れる。 広場に出て数歩進んだところで、俺を包み隠していた土煙は晴れ、徐々に俺の姿をあらわにする。 完全に煙が晴れると周りには無惨にも奴らに敗れ去った多くの仲間が倒れているのが分かった。 ついこの間までの俺なら、今この時彼等と同じ様に地面に這いつくばっていたかもしれない。そう考えると何だか複雑な気持ちになるな。 「おいっ、誰だお前は!」 そんな周囲を気にしていた俺に気付いた奴らのリーダー格の男(声から推測)が、質問をぶつけてきやがった。 「俺か?俺の名前は……」 ほんの少し言い淀んで自分の手を見る。 このスーツを着ると決めたときにも言われた、これからの人生が少しずつ変わっていくだろうって。
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