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耳をふさぎたくなるような暴言を浴びせかけられるなか、動く者たちがいた。
「失礼ですが、あなたはどちら様でしょう。存じ上げないのですが」
たっぷりの皮肉と嫌悪が込められた、そのエミエルの言葉に声の主である男は敏感に反応した。
「貴様!!私を知らぬとはいい度胸ではないか。いいだろう、特別に名乗ってやろうではないか。私の名は.........」
「あんたの名前なんてどうでもいいのよ。このクソやろう」
どや顔で名乗ろうとした男の声を遮って、愛が言葉を放った。
男は一瞬なにを言われたかわからないかのように呆然としていたが、やがて顔を真っ赤に染めて怒鳴り散らし始めた。
「クソやろうだと!?貴様誰に向かってそのような口を利いている!!貴様の命など私は簡単に奪えるのだぞ!!」
その言葉に背筋がぞっとした奏は、喧嘩腰の二人をとめようと立ち上がるが、肩を後ろからつかまれて動けなくなってしまう。
「悪いな奏。俺らもこればっかりは我慢ならねぇんだわ」
そう、耳元で囁いたネイスの横顔は、怒りに満ちており鋭い目線を未だ怒鳴り散らしている男へと注いでいる。
「ごめんね、僕もあいつを叩きのめさないと気が済まないや。大丈夫、奏のことは僕たちが守るから」
笑いながら言うナナギだが、その顔は冷え切っており目が笑っていないのがわかる。
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