元老院

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   パチ  かすかに耳に入ったその音に、奏は後ろを振り向いた。周りも気づいたのか、警戒したように周りを見渡している。  広間を出た後に通された客間は、いくら見渡してみてもおかしなところはない。強いて言うなら、なんだかよくわからないしかににた動物の剥製があるぐらいだ。  聞き間違いかと思って首を傾げた。だが、エミエル達は真剣な眼差しで警戒をしている。  「どうしたの?」  「さっきの音......聞き間違いじゃないとしたら、敵はすでにここに潜り込んでいるかもしれないわ」  「ここって、元老院に?でも、どうやって」  元老院は大長老をはじめとする長老たちがいるため、警備は厳重になっているはずだ。そんなところに簡単に潜り込めるとは思えない。  「もし、元老院が容認しているのだとしたら?」  あまりにも唐突なその言葉に、目を見開いた。  「そんな......そんなことって。だって、ヴァンパイアたちが殺されて困るのは元老院の人たちも同じなはずじゃ」  「それがそうでもないのよ。元老院の中には少なからず被害がでたとしても、構わないと思っているものもいるぐらいだから。シグマはどうなのか知らないけれど、元老院の誰かが関わっているのは確かよ」  「それにみたでしょ?あの突っかかってきたおっさん。あいつは明らかに新しい第五真祖をよく思ってないみたいだから」  そう言うナナギの顔にはいつもの無邪気な笑顔はなく、どこか底冷えするような冷めた表情だけが浮かんでいた。  「確かに......そうかもしれない」  奏はこういったことになれてきたためか、妙に納得してしまっていた。  「まあ、兎にも角にも用心するに越したことはないわ」  話をまとめたエミエルにその場にいた全員が、一様に頷いた。  
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