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「あらー、奏おはよう」
駆け込んできた奏を間延びした声が迎えた。リビングに続いているキッチンからはこぎみいい包丁の音が聞こえてくる。そこで楽しそうに料理をしているのは声の主、雨宮春花であった。
「か、母さんおはよう!!朝ご飯できてる!?」
奏が早口でまくしたてながら問うと、相変わらずの笑顔で春花は答えた。
「できてるわよ。でもどうしたの??そんなに急いで」
雨宮春花は、実年齢40代半ばだが見た目の異常な若さで20代行半にさえ見えるまか不思議な女性だった。そして、性格の方もかなり癖があり、天然を通り越して天然なのだ。そんなことには慣れっこな奏だが今日ばかりはそんなことを受け止める心の余裕がなかった。
「・・・・・」
あまりの天然さに思わず数秒停止してしまった。
「あー、えっと・・・ちょっと学校に遅刻しそうなんだよね」
本当ならこんなことをいちいち説明している暇はないのだが、なぜか説明しなければいけない気がしてくるのだ。
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