1人が本棚に入れています
本棚に追加
「やめろ離せよ!」
海斗は両脇を黒スーツ2人組に掴まれ、足をばたつかせる。
もちろん文字通り、地に足はついてはいない。
仁はというと、諦めたかのように黒スーツについていく。
「僕たちはどこへ連れて行かれるの?」
仁は黒スーツに尋ねるが、仁に一瞥をくれただけで返答は返ってこない。
「もしかして僕たち、海外に売り飛ばされて奴隷として働かされるのかな?」
半べそをかいている仁の言葉を聞いて海斗はまた暴れ出す。
「俺が何したってんだよ!離せよこの黒服軍団!」
黒スーツは顔色一つ変えずに2人を連れて行く。
2人は街の真ん中にある大きなビルの中に連れて行かれた。
無理矢理エレベーターに押し込まれ、黒スーツは最上階のボタンを押しエレベーターの外へ出た。
抵抗虚しくエレベーターの扉は閉まり、最上階へ行くことを余儀なくされた。
「僕たちどこへ連れていかれるのかな?」
「俺が知るかよ」
そんなことを呟いていると、程なくしてエレベーターの扉は開いた。
エレベーターの扉が開いた先には、また大きな扉が現れた。
海斗すかさず1階のボタンを押すが、エレベーターは作動しない。
「何なんだよこれ!」
海斗は大声で叫びエレベーターのボタンを叩く。
非常用のボタンも作動しない。
「この先に行くしかないのかな?」
仁が力なくエレベーターの外へ1歩出る。
「お待ちしておりました」
音もなくエレベーターの側に立っていた女性が現れる。
「うわっ!」
仁は驚き、その場で尻餅をつく。
「何なんだよここは!」
海斗が叫ぶが、女性は顔色一つ変えずに佇んでいる。
「こちらへどうぞ」
女性は海斗の声に耳を貸さずに目の前にある大きな扉を開けた。
最初のコメントを投稿しよう!