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「待てよ!勝手に話進めんなよ!」
海斗が怒鳴る。
「なんで俺たちなんだよ!ふざけんな!俺は帰るからな!」
そう言うと扉の方へ歩き出す海斗。
扉の前には音もなく美咲が立ちはだかった。
「帰すわけにはいきません」
淡々と言い放つ。
「そうそう。君が格闘ゲーム全国ナンバーワンの出島君。そして、君がシューティングゲーム全国ナンバーワンの田村君だろ?」
そう言われると、海斗と仁は顔を見合わせた。
ゲームの中ではハンドルネームを使っていたので、自分たちが全国ナンバーワンだということは2人しか知らない秘密のはずだった。
「何で?って顔をしてるね!そりゃそうさ!君たちが普段遊んでるゲームの筐体はこの栗田コーポレーションが開発と運営をしてる物だからね」
栗田は誇らしげに言う。
その言葉が、海斗と仁のゲーマー魂をくすぐった。
いつも遊んでいるゲームの開発をした会社の新作ゲームを、テストという形でプレイ出来ると思うと、2人の気持ちは揺らぐしかなかった。
「そのゲーム、ジャンルは何ですか?」
仁がか細い声で聞いた。
「そりゃオールジャンルさ!格闘、シューティング、RPG、その他諸々全部詰まってる!やり込み要素満載のゲームさ!しかもバーチャル空間で感覚も超リアル!どこも開発することの出来ない究極のゲームさ!」
ゴクリ。
2人は生唾を飲む。
やりたい。やりたい。やりたい。やりたい。やりたい。
2人の心は同じだった。
「やる。俺やりたい!そのゲーム!やらせてくれ!」
「僕も!」
栗田はニヤリと微笑んだ。
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