2902人が本棚に入れています
本棚に追加
別に実が嫌いだったわけじゃない。
社内恋愛が面倒だっただけ。
そしてなにより、結婚という立派な理由があれば、堂々と退職できた。
今考えれば随分不純だったと思うけど、その頃の私は全ての問題を解決してくれる実のプロポーズにすごく感謝をし、即答していた。
それからはあっという間に時間が過ぎた。
結婚生活は、彼が独身時代に購入したマンションでスタート。
すでに住んでいるところへ私が住み始めただけだったから、大きな家財道具を二人で色々話し合いながら揃えていくという甘アマなシチュエーション無くスタートした。
結婚式も披露宴も、面倒なことが嫌いな私に代わってマメな実が殆んどを決めてくれた。
そして、他人が用意したレールに乗り続けられるといことは、なんて素敵なことなんだろうと、今思えば的はずれな幸せを感じていた。
最初のコメントを投稿しよう!