元夫

7/19
前へ
/511ページ
次へ
私にとっては、毎日変わらない、刺激のない平穏な日々が続いた。 他人にとっては退屈な毎日に見えただろう。 だけど、私にとってはこの上ない幸せな日々だった。 その幸せに影が落ち始めたのは、結婚2年目に入った頃だった。 私には、幼稚園から一緒に成長してきた幼なじみがいる。 彼女は私と違って社交的で、なんにでもどん欲に取り組む。 だから、いつも私の遥か前を進んでいた。 母はよく「美奈ちゃんの爪の垢でも煎じて飲ませたい」と言っていた。 私が持っていないものをたくさん持っている美奈。 なのに、彼女はそれだけじゃ満たされない。
/511ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2902人が本棚に入れています
本棚に追加