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立花さんの部屋を出て、来た道を帰る。
友田はきっと何食わぬ顔で迎えてくれるはず。
だけど、内心は平静とは程遠いところにあると思う。
それを想像しただけで、クスリと笑いが漏れる。
さて、どうやってご機嫌取りをしようか
そんな事さえ幸せに感じてしまう。
僅か数ヶ月前、
人と付き合うことが苦手だった。
もう誰かを好きになることなんてないと思ってた。
ただひっそりと生きて行こうと思っていた。
なのに、友田と出会い、友田の周りにいる人たちに触れて、まだまだ諦めていない自分に気付いた。
自分の生き方なんて、簡単に諦めることなんてできないんだ。
それは、どこか本能みたいなもの
生きるために諦められない。
それを教えてくれた人たちに大きな声で『ありがとう』って言いたい。
カチャリと開けたドアの先、ゆっくり振り返る友田がいる。
安堵したような、困ったようなそんな顔をしている。
なんだかそんな顔でさえ自分を必要としてくれているんだと思えて幸せな気持ちになる。
だけど、素直にそれを言うのが恥ずかしい私。
まだまだ成長が必要だ
だけど、今はこれで許してもらおう。
私は真っ直ぐにその胸に飛び込んだ。
【完】
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