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「どうぞ」
彼の目の前にトンと缶ビールを置くと、「サンキュー」と言いながら、空になった缶を引き換えに渡される。
ハァー
渡された缶をキッチンで軽く濯ぎながら、この3年を思い返してため息が漏れた。
あの日、突然「別れよう」と言われた私は、実(みのる)が驚くほどあっさりと「いいよ」と返事をした。
別れを切り出されたことに驚かなかったわけじゃない。
だけど、どこかでこの結婚は続かないと思っていた。
そう、まるで人ごとのように……
何か予感みたいなものはあったのに、私はそれまで何の行動も起こさなかった。
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