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牢屋も、立派だった建物の影も見当たらない。そこは、ただの廃墟。屋根が崩れ落ちて、赤い太陽とオレンジ色の空がオレを見ている。
廃墟の中には、先ほどまで溢れかえっていた人も見当たらない。
「だから、真実はそういう事」
「どういう……事だよ……」
小さいはずだった窓も、大きな穴が空いていて、青年はひびが入った窓にもたれる様に座っていた。
青年は、視線だけをこちらに寄越した。
「ここで語る? ああ、大丈夫。君がガラクタの夢から覚めた今、あの男達も君に危害は加えられない。俺も隠れているつもりだから、大丈夫」
「……話して」
青年は金色の瞳を細めると、静かに話し始めた。
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