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「俺は君を傷付けるつもりは全くない……けど、これは真実だ。
君には、両親なんて存在しない。君は産まれる前から、ずっと一人だったんだ」
「何、それ……」
「……人類は文明だけは、無駄と言う程進んだ。その結果、機械だけで子供を作れる様になったんだ。
その画期的な発明に、人類は飛び付いたんだ……」
……そういう事か。その画期的な発明で産まれたのが……オレなんだ。
「……そういう夢を見させたのは、人類にとって母と父が居た時期が一番平和で誰にとっても幸せだったから。
実際、世界がおかしくなったのは、その発明が生まれてからだ」
青年はそれ以上は尋ねず、話を進めた。
「君の両親みたいに、最初から存在しない人間もいる。動物はもちろんいない。
あと、飲ませた薬は簡単に言えばかけられた催眠術を解く物で、ここには何人もの人間がガラクタの夢を見させられている。ガラクタの夢から覚めた君には、その人間達は見えないだろうし、その人間達からも君は見えない」
「……見えるの?」
……そういえば、こいつの言っていた話が本当だとしたら……こいつはどうやってガラクタの夢から覚めたの?
「見えるよ」
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