青年

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その言葉に、まゆを潜めた。どういう意味だ、と尋ねようとしたが、先に青年が言った。 「そろそろ、行かないと遅刻するんじゃない?」 「あっ……」 腕時計を見ると、八時一五分。確かにそろそろ行かないと、遅刻だ。  でも、その前に名前だけでも聞こうと顔を上げるが。 「いない?」 青年は、路地裏から姿を消していた。念のため、辺りを見回すが、通行人達の姿で見えない。  こういう時、一五歳と言う年にしては小さい身長を恨む。仕方なく、学校に向かおうと足を動かすが、向こうに青年の姿が見えた気がした。  すると、足が勝手に青年を追いかけた。今日は遅刻確定。その言葉が、頭をよぎった。
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