追跡

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 警告を言われたにも限らず、またオレも青年を追いかけようと、細道に入ろうとした。 「!」 だが、腕を誰かに掴まれた。振り向くと、スーツ姿の男達がいた。その中の一人が、腕を掴んでいる。 「あの……離して下さい」 男は無言で首を振ると、更に腕を掴む手に力を込めた。 「ぅ、あ゛っ!?」 腕の痛さに、オレは思わずその場に膝をついた。立ち上がろうとするが、お仲間の一人に腹を蹴られた。 「ぐっ!」 その反動で、地面に横になった。  どうして、こんなと言おうとするが、口が動かなかった。  それどころか、指一本すら動かせず、意識が霞んでくる。 「奴は逃しましたが、奴の接触したガキは確保しました。  毛の色も瞳も、この地域に多い茶色で、年もせいぜい十三をいったぐらいでしょう。運動能力は見た限りなささうですし、頭の良さも普通ではないでしょうか。  奴がなぜよりにもよって、こいつを選んだのか、私は分かりませんね。ええ、もちろん今からさっそくガキを連れていきますよ」 次々と並べられる失礼な言葉に言い返そうとしたが、誰かに抱き抱えられたのを最後に、オレの意識はぷつんと切れた。
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