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「で、君はどうするの?」
青年が言った。
牢屋の小さな窓から顔を出すその姿は、どこか可愛らしい。場が場でなければ、オレは素直にそう思っていただろ。
目覚めると、牢屋の床に横たわっていて、手には手錠、足には足枷を嵌められていなければ……。
「なにが?」
ため息をついた。何度、この問いを繰り返したんだろ。
青年は、急に現れた。それから、どうしてオレがここに居るのだとか、あんた何者なんだよという問いには答えず、先ほどからこの質問をオレに繰り返ししている。
「君が真実を選ぶか、ずっとガラクタの夢を見させられるか」
理由も、全く変わらない。そして、意味が分からない。
ニコニコと金色の瞳を細める青年に、再びため息が出た。
なんで、オレはこんな所に居るんだろ。今頃の時間なら、学校から帰ってるはずなのに。
……早く帰らないと、父さん達が心配する。
「ねえ、そのガラクタの夢とか意味分かんないけど、オレはここから出れるの?」
「ああ、もちろん真実を選べば、少々残酷な真実が待ってるが、ここからもガラクタの夢からも出れるよ」
「……分かった。じゃあ、真実が何か教えてよ」
青年は、笑みを崩した。
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