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それから二人共しゃべること無く無言の時間が過ぎていく。
そこで無言の時間に耐え切れなくなったのか男性の方が話を切り出す。
「毎回聞いているが君は何で自殺をするんだい」
「毎回聞いてるのなら分かるでしょう?
死にたいからですよ
自殺する人何て皆そうです
そういえば僕も聞きたい事が一つあるんですよ
いいですか?」
少年は答えになっていない答えを出した。
「ん、なんでも聞いていいよ」
少年の答えになっていない答えにも慣れているのかそのまま流して少年の次の言葉を待つ。
「何で先生は生きているんですか?」
その問いに男性はすぐに自信満々の表情で口を開けた。
「それは人「の命を救うためとか言う下らない事を言わないでくださいね」・・・・何でだい」
男性の言葉を遮り、少年は先に釘を刺す。
それに対して少しムッとした表情で男性は理由を求める。
「先生・・・・僕がこう言ったらどうします?
“先生が死んでくれるのなら僕は死のうとする事を止めます”
僕も人です
先生・・・・“僕の命を救うために死ねますか?”」
少年が言っている事はぶっ飛んでいる。
だが、“合っている”
「・・・・」
その問いに男性は答えることが出来なかった。
「ほら、だから下らないと言ったんですよ」
それからまた何方も無言になり時間だけが過ぎていく。
そこで少年が言葉を切り出した。
「先生、今日は体調が良くないので出て行ってもらっても良いですか?」
そこでやっと少年は男性に目を向ける。
その目に光と言う物は一切存在していなかった。
暗闇だった。
ただただ暗闇だけがあり、その暗闇は全てを拒絶していた。
その拒絶の目と言葉を受け、男性は何かを言おうと口を開けたが、何も口から出てこず、少年に背を向けて歩き出す。
それの姿を少年は見るとまた天井に目を写した。
だからこそ少年は見ることが出来なかったのだろう。
男性が悔しそうに拳を握りしめていることに。
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