少年と少女と病院

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二人共別に知り合いと言う訳でもないので二人共話すこともなく別々の事を始める 少年はあいも変わるず虚空を見つめながらお茶をチョビチョビ飲み、少女は息を整えようと深呼吸をしている。 それからまた暫く時間が経ち、少年がお茶をもう一口飲もうとすると、何やら視線を感じた。 「・・・・・何かよう?」 少女の方に目を向けること無く問いかける。 「えーっと・・そのー」 少女は何か言いづらそうに言葉を濁らせる。 「早く」 それを少年は面倒くさいと感じたのか、早く話すように急かす。 「えーっとそのですね・・・その・・もう一本のお茶を売ってもらえないでしょうか・・・・」 少女は少年が持っているもう片方のお茶を売ってもらたいようだ。 「180円」 そう言いお茶を少女のほうへ差し出す。 「え・・・でもお茶って150円じゃ」 少女が少し困惑した表情で原価の値段を言う。 「何で僕が買った値段で売る必要性があるんだ? 僕は自動販売機じゃないぞ? 買わないのなら買わなくてもいい」 やはりこの少年は最低なようだ。 「・・・・最低ですね・・・」 少女は顔を顰めて、嫌悪の表情を浮かべる。 「何で僕が最低呼ばわりされる理由があるんだ? 商売はそう言うものだ、よく考えてから言葉を使うといいよ 所で買うのかい?買わないのかい? 僕としては買わないほうが良いと思うぞ」 そんな少女の表情を少年は無視する。 「買うわよ!買いますよ! でも今所持金が150円しかないから部屋まで来てもらってもいいですか!?」 煽られて反発してしまったのか少女はこのボッタクリに乗るようだ。 「何で僕が行かなくちゃ行けないのさ、財布を早く取ってくればいいじゃないか」 この少年はさっき少女が頑張って歩く練習をしていたというのに冷たい言葉で返す 険悪なムードだが仮にも少年も男の子だ、少女の部屋に行きたいとは思わないのだろうか。 「ーーーーー」 少女から声にならない声が漏れる。 相当憤りを感じているのだろう。 「買ってすぐに飲みたいからです!」 「付いて行く代金+20円で200円ね」 「ーーーーーこっちです!」 少女はまた言葉にならない声をだし、これ以上話さないために先行して歩き、いや、滑り始める。 その後ろ姿を見ていた少年は肺の底から大きなため息を付き、気だるそうに立ち上がり、これまた気だるそうに歩きはじめた。
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