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しっかりとラスを見つめる少女の瞳はただ澄んでいて、嘘の欠片も見つけられはしなかった。
「言葉の意味が分かってんのか?
この辺の家なんぞ10戸買っても余りある金額だぞ。
それこそ小さな村でも買えるって言ってんのと同じだ」
首都とそれ以外では、土地の値段は宝石とパン程も違う。
普通に暮らす分には、人間1人の一生には十分すぎる程の金額を用意できると少女は言っているのだ。
その上どうやら言葉の意味する所も、正確に理解しているらしい。
「多少の差額はあっても、大体にして十分な金額は用意できます」
元々通りすがり、いい馬を見つけたから、手に入れる為にわざと少女に依頼させるように仕向けた。
報酬は手に入らなかったが、馬を4頭。男達の懐を漁れば幾らかは出てくるだろうし、別段金にも困っていない。
言わば少女を嵌めて、馬を手にいれようとした訳だ。
恐らくアオの脚であれば、男達から逃げ切る事は可能だっただろう。乗る少女の体力が切れればそれまでだが、そんな事はラスには関係ないし、慈善事業で助けた訳でも何でもなく、むしろ罠に嵌めた形であるのだから、ラスからすれば無報酬であろうが何だろうが構わなかったのだ。
あわよくば、馬を手に入れられれば儲け物だと思っていたのだが、以外な所に儲け話が転がっていたものだ。
「……いいだろう。
首都ラグゼンシアまでの道中、同行しよう。
けど、あくまでも同行だ。
護衛じゃあない。
出来るだけ自分の身は自分で守りな。俺の手が空いてる時と、気が向けば助けてもやれるだろうけどな。何せその時の気分次第だ。
お嬢さんが死んでも一切責任は負わんし、あんたがついて来れなきゃそのまま置いてくぜ。
ついで、だ。
その分護衛代はほぼ無償でいい。
目的地到着後、もしお嬢さんによる損失なんかがあった場合の料金だけだ。
それでいいならその依頼、受けるけど」
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