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要するに、ただの道案内と変わらない、と言う事だろう。
自分の身は自分で守れ。
気が向けば助けない事もないが、期待は薄い。
そして無償と言うが、損害があった場合しっかりと請求する意思があると言うのは、いつどんな扱いをされていようと、もしもラスに損失が生じれば料金を請求できると言う事だ。
一見良心的にも見えるし、恐らく半分程度は本気で言っているのだろう。だが、もう半分は、しっかりと保険を懸けている。
機嫌を損ねればそのバランスは簡単に崩れ、いつでもラスに有利に傾く位置に天秤は置かれている。錘を持っているのはラスだ。
いつでも自分の好きな様に事を運べるような条件を揃えている。
そして、少女で遊んでいるのだ。
「どうする?」
と、首を傾げて。
それでも、少女には一つしか選択はない。
「それで構いません。
ラグゼンシアまで、よろしくお願いします」
そう言って少女は綺麗に頭を下げた。
傭兵は、楽しそうだった。
「確かに、依頼受諾だ。
せいぜい死なないように頑張んな」
暫くは、退屈しなそうだ──
胸中の呟きを隠す気もないまま、
名の通った体剣使いはニヤリと笑ったのだった。
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