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「……幾つだったんだ?」
レイスが確かめようとする前に、ラスは直ぐ前に向き直ってしまった。
「8つです」
レイスはそっと自分とアオを濡らす赤いヌケガラの髪の毛を、そっと撫でる。生前強請られた時のように、優しく、優しく。
「まだ子供だな。
……そういや、あんたは幾つなんだい?」
初めて、聞かれたわ…
「………」
何も言わないレイスに焦れたのだろう、ラスは少し呆れた様に振り向く。
「……何だ、その間抜け面は」
そう言われて自分の口がぽっかりと開いていた事に気付いたレイスは慌てて口を閉じる。
名前さえ聞かれなくて、どうして都に行きたいのかも聞かれなくて、他人に全く興味のなさそうなこの男でも、他人の年齢など気にするのね……
「いえ……今まで聞かれなかったもんですから。
あ、歳は今年で17になります。」
「ははぁ~、若いなぁ」
レイスは首を傾げた。
「貴方だってまだ成人してないでしょう?」
するといつの間にかまた前に向き直っていたラスが、盛大にレイスを振り向いた。
「はぁ?!
俺が19も越えてないように見えるってか?!!」
反応からして、恐らく自分の予想が外れているのだろう事は安易に予想は付くが、どう見ても同い年か2、3歳上程度にしか見えない。
19歳の成人も、ギリギリ越えているかどうかと言う感じである。だが、それにしては反応が大袈裟だ。
「……じゃあお幾つなんですか」
「お嬢さんからしたらおっさんの歳だよ」
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