10人が本棚に入れています
本棚に追加
「お嬢さんはあの田舎で育ったんだろ?じゃあ分かってるはずだな。
動物が寄り付かない場所が、どういう場所を意味するのか」
「……危険な、それも空気や植物が関係する、有害な場所。
もしくは、その種にとっての天敵が存在する場所。」
レイスの返答に、ラスは満足したように頷く。
「お察しのとーり。
この場所は、地上に存在する全ての生き物にとって危険な場所ってこった。
そんでもってここの起伏、よぉく見てみな」
レイスはそう言われて、景色へと視線を移す。
そんな事言われても……
連なる起伏を、手前から順々に目で追って行く。先ずこの場所、次に細く一本道のような部分が低くなって続き、その先には一際大きな丸い部分がドンと構えている。2人の立っている場所の10倍はありそうな広さだ。そのまま真ん中に一本の紐のようにくねった、道のような丘がなだらかに下って、そしてその先は平地へと続いていた。その最後の丘は徐々に細くなっていて、カーブが渦を巻いていた。まるで、尻尾のようだ。
「……まさか」
「ま、そーいうこったな」
そんな、まさか。という思いがレイスの中で駆け巡る。だが一度そう気付いてしまえば、丘はもう竜の形にしか見えない。
今立ってる所が頭で、目の前の一歩道が首、大きな丘が胴、その先で緩く塒(とぐろ)を巻いてるのが尻尾ってことよね?
「うそ…
だって平坦な地だって……」
呆然と呟くレイスに、ラスは呑気に答える。
「平坦ってのが、どんな規模のもんを表すのかは知りゃあしないが、人から見た時この場所は少なくとも平坦じゃあない。これだけ凸凹波打ってるんだ。
でも、竜からしたらどうだろうな?」
最初のコメントを投稿しよう!