聖墓

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「お嬢さんはあの田舎で育ったんだろ?じゃあ分かってるはずだな。 動物が寄り付かない場所が、どういう場所を意味するのか」 「……危険な、それも空気や植物が関係する、有害な場所。 もしくは、その種にとっての天敵が存在する場所。」 レイスの返答に、ラスは満足したように頷く。 「お察しのとーり。 この場所は、地上に存在する全ての生き物にとって危険な場所ってこった。 そんでもってここの起伏、よぉく見てみな」 レイスはそう言われて、景色へと視線を移す。 そんな事言われても…… 連なる起伏を、手前から順々に目で追って行く。先ずこの場所、次に細く一本道のような部分が低くなって続き、その先には一際大きな丸い部分がドンと構えている。2人の立っている場所の10倍はありそうな広さだ。そのまま真ん中に一本の紐のようにくねった、道のような丘がなだらかに下って、そしてその先は平地へと続いていた。その最後の丘は徐々に細くなっていて、カーブが渦を巻いていた。まるで、尻尾のようだ。 「……まさか」 「ま、そーいうこったな」 そんな、まさか。という思いがレイスの中で駆け巡る。だが一度そう気付いてしまえば、丘はもう竜の形にしか見えない。 今立ってる所が頭で、目の前の一歩道が首、大きな丘が胴、その先で緩く塒(とぐろ)を巻いてるのが尻尾ってことよね? 「うそ… だって平坦な地だって……」 呆然と呟くレイスに、ラスは呑気に答える。 「平坦ってのが、どんな規模のもんを表すのかは知りゃあしないが、人から見た時この場所は少なくとも平坦じゃあない。これだけ凸凹波打ってるんだ。 でも、竜からしたらどうだろうな?」
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