エピローグ

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今日は3月10日。私立聖城学園高校の卒業式が挙行される日だ。 東京を舞台に行われた戦争から、およそ1年3ヶ月。 あの戦争のことを思い出すと、彼女は今でも釈然としない気持ちになる。 魔眼の力によって全人類の支配を試みた獅堂咲羅を、自分達は打ち倒した。 凄まじい戦闘だったと、今振り返ってみて改めて思う。 台風や地震といった天災に匹敵する威力の、都市破壊級術式が乱発され、数千数万にも及ぶ機神機龍が投入された。 結果として東京という都市は、徹底的に破壊されることになった。 高層ビル群に止まらず、一般の住宅や官公庁にも影響はおよび、首都機能は一時的に京都へ移された。 今も政府は京都に首都機能を置いている。しかしそれは暫定的なものであり、日本の首都は東京から改められることはないという、総理大臣の強い言葉が彼女の耳には強く残っている。 東京は今まさに復興活動の真っ最中だ。破壊される以前の現状を回復するべく、魔法による建築が急ピッチで行われている。 この1年で7割以上の建築物が回復し、残るは主要な都市機能を司る超高層ビルのみが着工を待っていた。
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