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「みんながんばってたもんねぇ……」
「何を頑張ったんだよ?」
「っ!?」
突如耳元で聞こえた声に、彼女はそちらに振り向く。
すると、驚いた表情で顔を引いた真希の姿があった。
「あっ、ま、まーちゃんかぁ! ごめんねぇ、考えごとしてたっ!」
「お、おう。こっちこそ突然話し掛けて悪かったな」
気にしないで、と、彼女はにこやかな表情だ。
「まーちゃんどぉしたのぉ? 私に用事かなっ?」
「いや、頑張ったんだなぁって何をだよって思ってな。お前この1年────
ずっと腑抜けてたじゃねぇか」
「……そぉだったね」
彼女は困ったような、そしてどこか寂しそうに微笑んだ。
再建されていく日本とは対照的に、彼女は力を失ってしまった。
魔法が使えなくなったなどではなく、単に気力を失くしてしまったのである。
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