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ピピピッ ピピピッ ピピpカチッ
携帯でセットしておいた目覚ましの音で目が覚める。
まだ眠い。けど早くカラコンを付けなくちゃいけない。
俺はのろのろとコンタクトケースを持って洗面台の方に行く。これが俺の朝の習慣だ。
ガチャッ
部屋を出てフラフラしながら洗面場のある部屋に行く。
ゴンッ ガチャッ
一回壁に頭を当ててしまったが気にせず洗面所の部屋のドアを開ける。
まずは顔を洗って、そのあとカラコンを付けて、鬘を…鬘……
カラコンを付けて鏡に映る赤色の髪を見て鬘の存在を思い出す。
狼「ベットの横に置いたままでした」
その瞬間目が一気に覚める。部屋に戻るにはリビングを通らないと行けない。
さっきリビングに息吹君が居なくてよかった。髪はともかくこの目だけは見せちゃいけない。でも、髪の事がばれるのもめんどくさい。
これでも紅はけっこう有名になっている。そこらのただの不良とは違い薬などを使ってる奴らをたくさん警察に放り込んでいるからだ。
表でも裏でも知っている人はたくさんいる。とくに、同い年くらいの人達ならなおさら。
息吹君はどこかの族に入っているのだろうか?
コンコンッ
狼「ひゃっ!」
考え込んでいるといきなりドアからノックの音がして飛び上がってしまう。別にビビりなわけじゃないのに、不意を突かれるとかなりオーバーリアクションをしてしまう。
鈴「わりぃ、驚かしちまったか?」
ドアの向こうから息吹君の声が聞こえる。
狼「だ、大丈夫です!ちょっと驚いただけですから」
鈴「そうか?ならよかった」
狼「それよりどうかしましたか?」
鈴「あぁ、洗面所から物音がしたから神崎がいるのかなって思っただけだ」
狼「えっ!起こしちゃいましたか!」
鈴「いや、なんとなく起きただけだから気にすんな」
よかった。起こしてしまったようじゃなくて。……いやいや!良くない!状況は全く変わってない!
俺達二人はドア越しで会話している。
洗面所からリビングに行くドアは一つ。その一つのドアの前で会話している。逃げ道はない。
どうすればいいんだよ;;
俺は取りあえずドアの近くに行こうと動いた。
その時足元のコードに足を引っかけてしまう。いきなりことで油断しててそのまま顔面から倒れる。
ドタンッ!!
鈴「神崎?!」
ガチャッ!
息吹君の声とともに閉まっていたドアが勢いよく開く。
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