1112人が本棚に入れています
本棚に追加
<鈴side>
ドタンッ!!
急に神崎の声が聞こえなくなったと思ったら、ドアの向こうからすごい音が聞こえて俺は急いでドアを開けた。そして見た光景は……
鈴「!紅……なのか?」
洗面所には倒れた状態で俺の事を見ている美形の人がいた。
その美形の人の顔を俺は知っている。俺の憧れであり目標の紅だ。
綺麗な赤髪に、軽いつり目。その外見は、狼のように勇ましくそして気高い雰囲気を纏わせている。
なんで紅がここにいるんだ。俺は神崎と……!
鈴「もしかして………神崎?」
狼「っ……」
神崎と名前を出すと紅は体をビクッと跳ねさせ無言で下を向いた。
鈴「無言は肯定と受け取るけどいいか?」
狼「……………誰にも言わないでください」
俺が洗面所に入って初めて神崎が言葉を発した。
鈴「理由を聞いていいか」
狼「……めんどくさいからです」
鈴「…………プッ!」
もっと深刻な理由だと思って構えていたのに安易な答えが返ってきて沈黙した後俺は思いっきり笑った。
鈴「ははははは!!めんどくさいって、そんな、ははは!!」
狼「そんなに笑わないでくださいよ!」
神崎は怒って顔を膨らませる。
その瞬間鼓動が早くなった。
笑いすぎたわけではなく神崎の顔を見たら急に顔が熱くなり心拍数が上がる。今神崎は、倒れた状態から床に座った状態で俺を見上げている。つまり、上目遣いになっている。
見た目はとてもクールな美人系なのに中身や行動が子供っぽくて可愛い。
これが世に言うギャップ萌えというやつなのだろうか。
狼「息吹君?息吹くーん」
俺が呆然としていると神崎は立ち上がり俺の顔の前で手を左右に振る。
鈴「あっ、あぁ。ごめん。どうした?」
狼「えっと、とにかく変装してる事は誰にも言わないでください。お願いします」
鈴「あぁ、わかったよ。でも、部屋では変装解いとけば。鬘とかって暑かったりするんだろ」
狼「えっ、まぁ確かにそうですけど……」
鈴「大丈夫だ。俺の部屋に来る奴ほとんどいねぇし、来てもすぐ教えるから、な」
狼「………じゃぁ、お言葉に甘えさせていただきます」
俺も学校に行こうかな。
神崎もいるし、クラスが違っても授業はサボっとけばいい。
神崎ともっと一緒にいたい。もっといろんな表情を見てみたい。
俺は……神崎に惚れたみたいだ。
<鈴side>終了
最初のコメントを投稿しよう!