第三章 新入生歓迎会(前編)

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健「あれ、神崎君それだけ?」 狼「はい」 彼「足りなくないそれじゃ」 狼「今日はしょk…お腹すいてないから大丈夫です」 ここで食欲がないと言ってしまうと皆に迷惑をかけてしまうだろう。 トッ○の箱を開け中の袋を少し破って、一本取り出し口に入れた。 鈴「…ん」 狼「えっ」 無言だった鈴君が突然俺の目の前にオレンジジュースを出してきた。 狼「あの」 鈴「やる」 狼「いや、でも」 鈴「少しぐらいは飲んどけ」 そういうと鈴君は俺にオレンジジュースを無理やり持たせた。 狼「えっ、あの、でも」 優「狼君。こういう時は素直にもらっといていいと思うよ」 由「そうそう。イブの極稀に出るデレなんだから。貰っときなよ」 鈴「デレってなんだよ」 由「痛て!ちょっ、殴らないでよ!」 鈴「うっせぇ」 彼「まぁまぁ。息吹君も落ち着きなよ」 健「喧嘩はダメですよ」 狼「………クスッ」 いいな、こういう雰囲気。久しぶりに気持ちが明るくなれた気がする。 俺が軽く笑っていると急に静かになった。 皆の顔を見てみると、優弥君と鈴君は鼻を押さえていて、健君は顔を真っ赤にさせていて、岸部君はニコニコいつものように笑っていて、高山君は……岸部君とは違う笑みを浮かべている。 言葉に表すとニヤニヤみたいな感じ。 みんなしてどうしたんだよ。そんなにキモかったのかな。 由「神崎が考えてるようなことじゃないからな」 狼「へっ」 由「神崎のこの学園に来て初笑いwwwwww」 まだ二日目だけどなとさっきのニヤニヤとは違う笑みを浮かべる高山君。 いつもそうしていればカッコいいのに。 なんて失礼なことを考えつつも最後に笑った時の事を思い出す。 最後に笑ったのは……”あの日”の前の日だな。 あの日以来笑う何てことなかった。笑える気持ちにならなかった。笑顔と言っても愛想笑いぐらいしかしなかった。 今みたいに自然に笑ったのはホントに久しぶり。 彼「神崎君って平凡だけど笑うと可愛いな」 狼「……何言ってるんですか岸部君」 男が可愛いなんて言われてもうれしくないよ。それで喜ぶのはあのチワワ君達ぐらいじゃないのかな。
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