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「……あのさぁ、僕が言うのもあれだけど君は此処から出たいとか思わないわけ?」
タジェスに命令され、時々来る憂さ晴らしとばかりの僕の話し相手 兼僕が逃げない為の監視役。少し長めの金髪を後ろに束ねるゼウスは一応僕の父でもある。
「…タジェスが外は危険だから出るなって」
「ふーん‥。それじゃあ、聞くけど それ、ホントに信じてるわけ?」
「………」
言葉に詰まった。
「オーディンや僕の場合は創造神と同等の力を持ってるから記憶は大丈夫だけど、
君たちは忘れてしまったんだよね… 創造神に記憶を消されて。幸か不幸か… 僕たちの記憶には手を付けられなかったけど、
代わりに、
僕の可愛い奥さん、オーディンが捕まって人質にされてるんだ。おかげで創造神には逆らえないし…… これでもタジェスから逃げないなら君はただの馬鹿だよ」
人がせっかく逃げろって言ってるのに…。ぼそっとそう口にしたゼウスに僕は目を見開く。
「……心配してくれてるんだ」
「ま、一応僕の息子だからね」
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