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「……」
「今、天界がどんな状況になってるか知りたい?」
「…いい」
「ホントに?知っておいたほうがいいと思うけど?」
僕の応えが気に入いらなかったのか怪訝な顔をするゼウス。
それを横目で捉え、飛んできた小鳥に手を差し延べると僕の手に止まる。
穏やかな風が髪を優しく撫でる‥
「別にいいよ。
知ってるから」
「‥え?」
そう、タジェスがつく嘘も今の天界の状況も… 狂気に蝕まれていく創造神の執着心、それに‥
僕にどういう感情を抱いていて、彼が気に入らない天使や神々たちに手を掛けていってるのを…
「…知ってるから、此処を出るのに躊躇してしまう。確かに記憶のことはどこまで信じていいのかわからないが、少なくとも此処にいる間は天界の神の一人として暮らしてきたんだ。そのくらい簡単に察せる」
「……」
「僕の存在が彼を狂わせていることも‥ な」
その言葉にゼウスは口を開くことはなく、小鳥と戯れる僕を静かに‥
見つめていた。
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