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「ま、待ってください…!行くって… そんなあそこへ戻るというんですか!?無茶です!あなたの片割れであるユグドラシルと怒りで我を忘れた精霊たちをどう止めると…ッおっしゃるのですか!?」
多勢に無勢、彼らにあなた一人では分が悪過ぎます!お願いッ 行かないで!!このまま行けばあなたは…!
今度はユーリがユリウスに行かないで、と抱きしめた。このまま行けば間違いなくユリウスは死ぬ… そんなこと、望んでいない。
僕が… 僕が行くから、だから行かないでと言うユーリにユリウスはまた抱きしめて目尻についた涙をそっと拭い、キスを落とすと、
ーードンッ!
ユーリを思いっきり突き飛ばした。
「ったぁ!」
その勢いで尻餅をつくユーリを一瞥したユリウスは最後に切なげに微笑むと踵を返し、
ーーバン!
さっさと外へ出て部屋の扉を閉めると、古語を唱えて鎖錠を掛けてしまった。
ハッとしてユーリが閉ざされた扉へと走る。ドアノブを掴んだユーリが横に動かしても扉を前や後ろに押してもピクリとも動かない。詠唱を唱えても、不思議な力で打ち消されてしまい、ユリウスがこの部屋に何かをしたのだと気付いた。
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