- 一つ目の世界《精霊の愛し子》-

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「最後にあの人が託したこの世界の… 未来を守りたい」 その為ならこの命に掛けても、と口にしたユーリの決意にユグドラシルは『馬鹿な…!』と呟く。 『君ほどの力の持ち主なら分かるはずだ!今まで封印し、自ら秘めていた内なる力を解放した反動がどんなものなのかを…ッ!! 力を封じることは容易い。けれど、力は大きければ大きいほど扱いは難しい。それを今まで長い年月、抑え込んできたばかりか、突然それを解放するとならばその力の反動は… 計り知れない。君はあんな奴らの為にそこまでするのか!? 君のことを散々痛ぶり苛めてきた連中を… なぜそこまで庇う?』 信じられない、と驚愕に目を見開くユグドラシルにユーリは杖を高く掲げ、力を解放しつつ、小さく息を吐いた。 「……それでも、僕に優しくしてくれて人がいた。どんなに罵倒されようと石を投げられようと、あの人は… 兄さんだけは僕を庇ってくれた。僕を… 本当の弟のように愛してくれた。 あの人にとって、何気ないことでも… 僕は幾度となく兄さんの変わらない愛に救われた。だから、守りたいと思った。そして、その僕の気持ちを汲んで守ろうとしてくれたユリウスの為にもーー」 伏せていた目をすぅーっと開く。そこには力強い意思を感じさせた。 さらに杖を高く掲げて、ユーリは古語を唱える。それは昔、闇の精霊王タジェスに教えて貰った【滅びと再起】の古き言葉… その言葉の意味を知ったユグドラシルの表情は驚愕から徐々に青ざめていく 『ば… ば、馬鹿な!!!こんなことが… こんなことがあるはずがない!!たかが、精霊王の養い子と言えど人間の捨て子が!ま、さか…!この僕の力を凌ぐなんてッ そんなことッ!!まさか、闇の精霊王がこのことを見越していたということなのか!?』 杖を掲げるユーリを中心に今まで秘められていた力が解放され渦巻いていく…。その絶大なる力の大きさにユグドラシルは震えた。
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