- 終焉と再起 -

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マジかよ…と頭を掻きながら、面倒なことになったと溜め息つく。いや、元から面倒なことはわかっていたが、それがさらに複雑化したと頭を抱える。 「正直、俺一人だけで手に負えるとは思えねぇんだけど…」 『それなら心配ない。他の者たちも含めタジェスも「は!!?タジェスだぁ!?」 勢い余ってキサラに胸倉を掴まれたユリウスはそれでも冷静に告げた。 『さっきも言っただろう?タジェスはわざと悪役を買っているだけであって、根が悪いわけじゃない。 勘違いしているようだから言うが、タジェスが今まで狩って取り込んだ神や天使は… 正確に言えば取り込んではいない。そう見えただけだ』 あまりにも淡々と告げるものだから、興奮していたキサラも手を緩めた。 「どういうことだ?」 『あの日、封印されたユグドラシルの意思… つまり人格は幾度とあの子たちが転生を繰り返す内に解けてしまった。…封印とは主に力だ。時が過ぎれば、万全だった力も削がれてしまう。 それもまた必然のことだ。 だから、あの子も… それを見越してあの日、来るべき日の為にユグドラシルから呪いを受けてもそれを弾くことはしなかった。相殺するようにあの子もまたあの日あそこで来るべき未来の為にユグドラシルに封印とは別に呪を掛けた。 ――‥ 人間に失望したユグドラシルにまた信じて貰えるようにと、いつか封印が解けることを前提としてユーリはユグドラシルの封印が解けると、全ての記憶を失い、人間の環境に転生するよう呪を掛けた。 光と闇は対。 今頃、光の精霊王であるお前たちの言うクロス裁判官が動いている頃だと思うが』 「クロスが… 光の精霊王ッッ!?」 え、あいつが!?と吃驚するキサラはふと頭に過った。
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