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『あれはそういうヤツだ。昔から。気まぐれで嫉妬深くて… 執着深い。まるでヘビだな。まぁ、そんな生易しいものじゃないが、闇の精霊王ならではと言ったところか。
特に、
クリフェイドと名乗っていたあの子と親しげだった故の嫉妬のほうが大きい気もするが、俺からすれば正直どちらでもいい』
「どうでもいいって…。俺、それで死にかけたんだけど!?」
『……タジェスはあの子の帰還のためにわざと自ら悪役を買った。全てが演技だとしても、ユーリの害となる者に容赦はない。殺してもいいと思っている。
タジェスがお前に剣を向けたのはタジェスが考える方向の誘導に必要な過程あるいは、為すべきことにお前の存在が自分の邪魔だと判断したからだろう。タジェスが今まで取り込んできたと言われている神々や天使は… ユグドラシルが施した呪いの歪みによって本来生まれるはずがなかった者たち。言わば、前のユグドラシルと精霊の意思を引き継いだ歪みだ。歪みはこの世界を壊さんとする… だからタジェスが葬ったんだ。
タジェスの腕に刻まれた黒い入れ墨も… その歪みの現れ。
――‥ けど、ようやく時が来た』
「は?」
『あの日から止まっていた時がようやく動き始めた。幾度と、負のループと言えど転生するうちにあの子は多くのことを学んだ。守るべきものを。前に進むことを――。
あの子は決意した。
自分と同じように全てに失望したあれを救うために… 』
「あれ?」
『俺の… もう一つの片割れ。名をユグドラシル――。そして、お前たちがいた世界での名前は…
【アシス王子】
お前もよく知っているだろう?』
そう問うて来るユリウスにキサラは驚愕の目を向けた。
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