- 終焉と再起 -

8/30
前へ
/93ページ
次へ
ーー? Side バサッ! はらり、はらり… とその白い羽根が宙に舞う 「熾天使レイド様、あれが創造神の元から逃げ出したと思われるユリウス様ではないかと…」 ユリウスもといクリフェイドが走るその遥か頭上で翼を羽ばたかせながら、下級天使はレイドと呼んだ熾天使に媚びの色を含んだ瞳を向ける。 『……あれが創造神タジェスの元から逃げたという… 少年ですか』 レイド様と呼ばれた熾天使は何枚もある大きな白い翼を時おり羽ばたかせながら、必死に逃げる少年をジッ…と見下ろす。 その金色の髪は風に靡き、白い布で何重にも巻かれて覆われた目からは、その奥の瞳に何を映しているのかはわからない 本当に見えているのか… それさえもわからなかった。 「創造神は愛してる彼を連れ戻したいそうですけど、僕は嫌いです!だって、彼と関わったばかりに貴方は罪人としてその目を創造神にくり抜かれたんですよ!?信じられませんっ!貴方みたいなお美しい方が罪人だなんて!!」 レイドという盲目の熾天使は何重にも覆われたその目を下を走るユリウスから下級天使へと向ける 『… 罪人?』 「そうですよ!! 貴方は彼のせいで創造神から目をくり抜かれたばかりか、記憶まで消されたんです!」 『………』 「彼を殺しましょう。創造神の意には背く形にはなりますけど、貴方には彼を殺す権利がある…」 だから、と パッ!と顔を上げた瞬間、理解ができなかった・・・ 「あッ 、な… んで…… ッ」 ゴポリ、と口から血が吐き出される。 腹わたを触れると、真っ赤な血と硬いモノが手に当たった。 引き抜くと、それは短剣で… 自分を刺したであろう目の前の盲目の熾天使に何も映すことができない布で覆われたその目を向けられる。 ーーそれがより下級天使の恐怖心を煽った…
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2088人が本棚に入れています
本棚に追加