- 終焉と再起 -

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『君のトラウマに付け入ることで君の魂に揺さ振りをかけ、そこに出来た隙に入ることで君の潜在意識にようやく繋がることができた。アクセス出来たとでも言っておこうか』 …繋がる?僕の潜在意識……って? ユージーンから告げられる言葉に困惑を隠せない。 『私たち悪魔は人の弱いところを突くことでその隙に付け込む… トラウマを持ち、自責の念に駆られる君は… 私の術に特にかかりやすかった』 それにね、とユージーンはさらに続ける… 『君がいたさっきの世界にはユタはいないんだ。…いや、正しく言うならユタがいた場所はあそこじゃない。そしてそれは… 君にも言えることなんだよ』 いいかい?そう確認してくるユージーンは少しだけ憂いを含ませて続けた…。 『ユタも君たちも… 本来ちがう次元の世界にいたんだ。ユタのあの忌まわしい事件も… 実際起こったのは君たちがいた、いや… 君たちの記憶にある世界で起こったことじゃないんだ』 「……それは、つまり此処で起きたということ?」 『んー…。正確に言えば少しちがう。此処、ミスカトニック図書館は… 宇宙を根源としている場所であり、常に中立の立場を維持している場所でもあるんだ。さらに言えば、世界樹ユグドラシルである森の神さえも、干渉できない特別な存在。原理がそもそも違うんだよ』 宇宙を根源…?中立な立場??ますますわからなくなる…。本当に僕はこのミスカトニック図書館の館長なんだろうか…? 『君が不安に思う気持ちも十分に理解できるよ。…でもね、これは君が終わらさなければいけないことなんだ。始まりは然り終わりも、ね…』 始まりと終わり……。 何でだろう。なにも知らないはずなのに、なにも覚えていないはずなのに… 心が苦しく感じるのは───。
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