始まり

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 放課後。先生からの連絡が終わり、教室内はいっきに下校ムードとなる。今日も一日が終わったんだと生徒たちは実感していた。クラブ活動へ行こうとする人やそのまま帰宅する人もいる。拓也は後者だ。特別運動神経が良いわけでもないので、拓也はクラブ活動に入っていなかった。たとえ運動神経が良くても、面倒なことが嫌いな拓也はやっぱり部活はしていないだろう。 「帰ろうたっくん」    後ろの席の美奈から声がかかる。もう美奈は帰り仕度を済ませているみたいだ。わかったと伝え、拓也も急いで帰り仕度を始める。家が隣の美奈とはいつもこうして一緒に帰ってるのだった。 「たっくんテスト大丈夫なの?」    靴箱で上履きから外靴に履き替えている途中、美奈は拓也が最も聞きたくない単語を口にした。 「う~ん。大丈夫なんじゃないか?」    美奈に目線を合わせず拓也はそう答える。中間試験の結果は赤点こそなかったが、どれも点数は良くなかったので美奈は大いに心配していた。 「たっくんの大丈夫は全然当てにならないんだけど・・・」    そんなに信用が無かったのかと拓也は落ち込むが、小さい頃から拓也を良く知っている美奈の言葉は的を射ていた。小学生の頃からろくに勉強もしないで過ごしていた拓也はいつも試験前には美奈がまとめてくれる要点ノートのおかげで、なんとか試験を乗り切っていた。
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