1.朝の挨拶

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「おはよう、アンナ。 今日もいい天気だね」 今日も今日とて、 俺の愛しい彼女は機嫌が良さそうに優雅に尻尾を振っている。 「ああ、なんでそんなにも美しいんだ!」 風にそよぐ金髪は、日光によってキラキラと輝いている。 まるで絵画の中のビーナスだ。 「おはようございます」 俺を見つめる1対の瞳は黒曜石のように深い黒い色味で けれどもそこには優しさや慈愛が含まれている。 「君は俺の女神だよ!」 「磯上さん、おはようございます」 俺は人間、彼女は犬。 種族は違えど、この愛は本物だ。 彼女以上に愛せるものなど、この世界には存在しまい。 「ちょっと、聞いてますか?」 「ちゃんと朝御飯は食べた? 君は今のままで充分キレイだからね、 ダイエットだとかなんて、バカな事は考えちゃいけないよ?」 「そんな事をさせる予定はありませんから安心していいですよ」 まるで微笑んでいるかのように口をあけている。 今日は気温が高いから その所為もあるのだろうけれど、俺には解っている。 「君も、俺に会えて嬉しいんだよね!」 「オイコラ、人の話聞けよ、変態!」 ……蹴飛ばされた。
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