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「おはよう、アンナ。
今日もいい天気だね」
今日も今日とて、
俺の愛しい彼女は機嫌が良さそうに優雅に尻尾を振っている。
「ああ、なんでそんなにも美しいんだ!」
風にそよぐ金髪は、日光によってキラキラと輝いている。
まるで絵画の中のビーナスだ。
「おはようございます」
俺を見つめる1対の瞳は黒曜石のように深い黒い色味で
けれどもそこには優しさや慈愛が含まれている。
「君は俺の女神だよ!」
「磯上さん、おはようございます」
俺は人間、彼女は犬。
種族は違えど、この愛は本物だ。
彼女以上に愛せるものなど、この世界には存在しまい。
「ちょっと、聞いてますか?」
「ちゃんと朝御飯は食べた?
君は今のままで充分キレイだからね、
ダイエットだとかなんて、バカな事は考えちゃいけないよ?」
「そんな事をさせる予定はありませんから安心していいですよ」
まるで微笑んでいるかのように口をあけている。
今日は気温が高いから
その所為もあるのだろうけれど、俺には解っている。
「君も、俺に会えて嬉しいんだよね!」
「オイコラ、人の話聞けよ、変態!」
……蹴飛ばされた。
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