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壁にかけられた
何の変哲もない時計に目をやる。
6時37分。
──良かった。
お通夜は7時からだから
ブッチしちゃった訳じゃ、ないらしい。
随分と長い時間が
経ったように感じられたのに
意識を失っていたのは
5分程度だったのか。
お腹の上に掛けられたタオルケットを
キレイに畳み、乱れた髪を直す。
目が真っ赤に腫れて
恐ろしくブサイク。
だけど、
どうせまた泣いちゃうんだから
今は、そんな事どうでも良かった。
しばらく静まり返っていた
隣の部屋の話声が再開した。
「由希子さんが・・・
O型だったなんて・な・・」
「・・・だから
・・・あんなになるまで
あいつ・・・病院に行かなかったんだ・・・」
──はっ?ママがO型?
Aじゃなかったの?
あれ?それって・・・。
ふすまを凝視する圭太を
チラッと見ると
女子顔負けの色白の端正な顔は
血の気が引いて青ざめ
まるで人形のように
無表情だった・・・。
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