4人が本棚に入れています
本棚に追加
6、7、13、23、28、33、37。
あ、当たってる。
パソコンのモニターを見ながら、マウスを握る手が震えて止まらない。
「さ、里美ぃぃぃ」
俺は同棲している彼女の里美を情けない声で呼んだ。すると怪訝な顔をして里美が現れる。
「何? 情けない声出して、一体どうしたのよ栄一」
「あ、当たった。……ロト7」
「当たったっていくらよ?」
「は、8億円!」
里美は俺の手からロト7のクジ券を取り、パソコンのモニターとクジ券を何度も見比べて「当たってるわ」と目を丸くして呟いた。そして二人で視線を合わせながら、喜びはしゃいで部屋を飛び回った。
夢みたいだ。
――俺は何度も頬をつねって痛みを確認しては、現実の出来事であることを確認した。
信じられない……とうとう俺にもツキが回って来たのだ。いつかは当たると信じて毎週買って来たロト7が、当たってしまった。それも8億円。それも3百円のひとクジで……。嬉しさの余り涙が込み上げてきた。
――思えば俺の人生はツキとは無縁のものだった。小学生の時お漏らしをしてしまい、卒業するまでお漏らし君と云うあだ名で呼ばれ続けた。
最初のコメントを投稿しよう!