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「ふぅー」
入り口の手すりに寄りかかって、先程自販機で買った冷たいお茶を飲む。
中からは、微かにライブの音が漏れ聞こえている。
空を見上げれば、既に陽は沈み、月が顔をだしていた。
自分のテリトリーじゃない場所は落ち着かない。
一人だけ取り残されたような気分になるから。
「…………帰ろ」
ため息をつきながら、まだ中にいるリサに先に帰るというメールを送ると、普段は来ることのない知らない街を、一人でトボトボと歩きだした。
「……迷った…………」
気がつけば、来た道と全然違う場所に出てしまっていた。
見たことのない地名、見たことのない風景。
「……あっ!そうだ、リサにでんわ……」
咄嗟にケータイを開いてみると、
画面は真っ暗。
こんな時に限って、充電が切れてしまったみたいだ。
な、何てツイてない…………。
最早笑うしかない。
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