5人が本棚に入れています
本棚に追加
「どういう……意味ですか」
「言わなきゃ分かんないの?一緒に来てたのに勝手に抜け出して、勝手に帰って。挙げ句に、道に迷ったら即友達頼み?
お前みたいなヤツ、俺一番キライ」
「なっ…………!」
何で、よく知りもしない赤の他人にそんな事言われなくちゃいけないの!?
――そう思ったけど、声が出なかった。
悔しいけど、……先輩が言ったことは間違いではなかった。
私は自分勝手に行動して、勝手に迷子になった。
それを、ウダウダ言う資格など、私にはないのだ。
何ひとつ、言い返す事ができずに、私は黙り込んで俯く。
地面を見ながら、また涙が込み上げてくるのを感じて、鼻をスンと啜る。
「……ま、俺には関係ないけど。
じゃ、まぁせいぜい頑張って帰って」
と、呑気な声で言うと、軽く手を振りながら私の横を通り過ぎる。
…………え、ちょっと待ってよ!このまま置いてく気!?
「――……なに?」
「あ…………」
気がつけば、通り過ぎようとする先輩の裾を掴んでいた。
.
最初のコメントを投稿しよう!