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「えい」
「いてっ、何すんだよ」
「秘技、〇ソップ輪ゴ~ム」
最近、カオルから借りて今更ながら読んでハマったマンガの影響をモロに受けている私は、次々と隣に向けて輪ゴムを飛ばす。
「ちょっ、やめろってナナ!それ地味に痛いんだってマジで」
「大丈夫、あと1つしか輪ゴムない」
キシシ、と笑いながら、最後の1つを指にかけ、カオルを狙った……
ハズだった。
きちんと指にかかっていなかったのか、早いタイミングで私の指から離れていった輪ゴムは、前の席の人の後頭部に見事命中した。
すなわち、先程の伊ヶ谷先輩の後頭部に。
「バッ……!お前、何やってんだよっ」
「あわわわわわ」
慌てる私達を余所に、伊ヶ谷先輩はゆっくりと後ろを振り向いた。
その顔は、何故か笑顔。
あれ、怒ってないのかな……?
可愛い後輩のした事だし、こんなことで怒るわけないだろ的な感じ?
伊ヶ谷先輩の表情を見てホッとした、次の瞬間、それは大きな間違いだったと気付いた。
「お前ら死にたいの?」
笑顔で放たれた伊ヶ谷先輩の言葉に、私とカオルは氷漬けされたように固まった。
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