雨 ~ 蝕甚

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5 (1) いつか嗅いだであろう香り。匂いはしなくても。なんとなく思い出す。 なんの匂いだったか。 この匂いがしている時、自分はどんな自分になっていただろう。どんな感情を抱いていただろう。 大事な部分が欠けている。 確か 確かどうしようもなくてどうしようもない大事な人がいた ホントにどうしようもなくて ホントにどうしようもなくて。 その香りを思い出そうとすると涙が止まらない。
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