雨 ~ 蝕甚

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(2) 疲弊した精神は、どうしたらその闇を抜け出すか、その方法も見えなくさせる。 前みたいな明るい自分に戻れる方法など考えることが出来ない。 そして人生が一瞬にして暗くなると死という選択肢が表れる。 食べる?寝る?歩く?出掛ける?死ぬ? 当たり前のように並ぶ「死」、とても魅力的な「死」。 ショーウィンドウに並ぶそれに、つい手を伸ばしてしまいそうになる。 また、その闇は私が一番嫌いなワタシも私の中に同居させる。 宏之がいたから?宏之がいるから? こんな事考えたくもないが、確かに自分の中に芽生え、成長している黒く渦巻くそれは頻繁にその思考をさせる。 いや、その思考を自ら望んでする。 私が思う、という事は私の心が肯定している訳で…でも頭が否定してるから否定出来てる自分がちゃんと存在している。でも肯定してしまっている自分も存在してしまってて…。 そんなことを考えているときに宏之が不安定な精神状態になることもある。 そんな時は自分の思考を一旦止めて宏之の下に行かなければならない。だからといって考えずにすむ自由な時間が与えられる訳でもなく、湿気が自分を取り巻くようにずっと私から離れない。 それはまるで悩むことすら許されない奴隷になったような心持だ。 今日も宏之は手を洗っている。 水道代も二人暮らしにしては高すぎるほどだ。これは保険など利くはずもない。 水、経済的な負担、疲れ、悩み。 その全てが比例しながら重くのしかかる。
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