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土曜日
雲が空全体を覆って地球にフタをしているような曇り空。
フタがされてるせいか普段よりも湿気が多く空気を吸っているというより水蒸気を吸っているようだ。
今日は宏之は友達の家で遊んでいる。
申し訳ない気もするがこの時は全てを丸投げして、一人でいる気楽さを味わう。
公園に到着して遊んでいる子供たちを見ると複雑な気持ちになる。
水に溶かした綺麗な絵の具に一滴、不気味な色が混ざって全体が歪なものになってしまう。
こんなはずでは、と思いたくないが感じる。
広志が
司法書士にならなければ、もしかしたら…。
フリーターでも良かった。お金が少なくても良かった。
広志がいてくれれば。
それでよかった。
それでよかった、それでよかった。
それしかなかった、のかもしれない。
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